パノラマX線写真,断層X線写真によるTMJ像
来院される患者さんのこれまでの治療から大きく分けて顎関節の原因や年代など2つの様相が考えられます。
1つは、ほとんどが天然歯で構成される患者さんの場合(若年者が主)で噛み合わせよりも生活習慣の悪習癖や外傷が大きな原因と考えられます。
下記に顎関節症を引き起こす可能性のある気をつけたい生活習慣の悪習癖をあげています。該当する項目はいくつありますか?
もう1つは、歯の欠損や補綴物が多い患者さんの場合(高齢者が主)で生活習慣の悪習癖よりも噛み合わせが相対的に原因として高いと考えられます 。
では、実際に当医院にて治療させていただいた患者様の症例を紹介させていただきます。
ご覧のとおり、患者さんの主訴は、食事後の左頬の疼痛でした。では、次にこの患者さんの口腔内の状態を説明していきます。
口の中は補綴物(金属冠)がたくさんあり、歯は磨り減った状態でした。この状態および頬の疼痛より、噛み合わせた時の下顎の位置のズレが 疼痛の原因の一つと考えられました。そこで次に下顎の位置の診査を行いました。
4つの写真の内、上の2つの写真の方法で下顎の適正な位置をチェックします。中心位とは、噛み合わせたときに下顎が一番安定すると言われている位置です。習慣性閉口位とは、噛んだ時に日頃一番かみ合わせている位置です。下2つの写真を比較すると、習慣性閉口位が(患者さん側からみて)左にズレていることが 分かります。そこで下顎の左方のズレが疼痛の原因と考え、下顎のかみ合わせの位置を 適正化した補綴物を製作しました。
それが次の写真です。
CO(中心位)とCR(習慣性閉口位)の位置を一致させた補綴物を装着した状態です。 下顎骨は顎関節の骨(頬骨の位置にあります)まで関節円板をはさんで位置づけられています。 この例では、咬頭嵌合位が左にずれることによって左顆頭は後方に押しやられ、顎関節後方部の結合組織部を圧迫します。そのようなメカニズムで顎関節の痛みを引き起こしていたのです。 今回、そのズレを修正した補綴治療によって左顎関節の疼痛は完全に消失しました
診療に携われる方に理解していただきたいことは 、このような下顎のズレがある場合、咬合紙を咬ませて一生懸命咬合調整してもずれがなおることはありません。下顎からそれまでの咬合のしがらみをなくし、下顎全体の位置を正し、その位置で咬合調整なり、修復治療なりをすすめていく必要があるのです
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